「変われるってムテキ」を世界中に。
それが、私たちスピンズのVISIONです。
世の中に服屋さんは星の数ほどあれど
私たちスピンズは「変われるってムテキ」を伝えたい服屋さん。
自らが変わっていくことで、自分の人生をクリエイトし
ワクワクを世界に伝えていく。
このインタビューは、そんな私たちの「変われるってムテキ」物語です。
今回のインタビューはSPINNS高等学院コミュニケーションスタッフであり、SPINNS物流倉庫管理業務、インターンコーディネイターをされている川南沙耶香さんのお話をお伺いいたします。
摂食障害で出会った古着という強い武器
ー まず川南さんがスピンズと出会うまでのお話をお聞かせください。
川南:スピンズに入る前古着屋さんで働いていました。古着がとても好きで自分のお店を出したいという夢がありましたが販売スタッフで働いていたので仕入れのことや商品の流れが知りたいと思っていたタイミングでスピンズの物流倉庫の募集があって応募したのがきっかけです。
ー 古着が好きになったのはどんなきっかけがあったのでしょう。
川南:高校の頃は古着に対して憧れはありましたが、家庭的にも服をたくさん買える環境でもなかったのであくまで憧れという感じでした。そんなある日、私が摂食障害になってしまい八ヶ月くらい高校休んでしまうことがありました。摂食障害になると体型が太ったり痩せたりととても変わってしまい、自分の着ている服が合わなくなってしまいます。その時、これを機会に古着屋さんに行ってみることにしました。古着って既製品にないサイズ展開があったり、個性的なデザインが沢山あるんです。沢山の商品の中から可愛いと思って着た時に「めっちゃ可愛い」という感覚が自分にとってめちゃ強い武器を持った感覚になりました。これは衝撃的な体験でした。
当時、摂食障害が一般的に認識されていない時代というのもあり、太ったり痩せたりしている自分に対して偏見の目もあった気がします。でも個性的なファッションでアメ村に行くと体型のことを言う人はいなくて「めっちゃ可愛いやん」とか「今日も派手やな」とか自分自身の個性を見ていくれている気がしました。関心を持ってもらえると「次はこういうコーディネイトで行こう」とか「この色使ってみよう」と最初は体型を気にして着ていた古着が、オシャレを目的に着れるように変化したというのがとても大きい出来事でした。
しんどさを抱えている子達が少しでも元気になれる場所
ー 古着屋さんとは川南さんにとってどんな場所だったのですか。
川南:好きな古着屋さんの店員さんと仲良くなっていく中で古着の派手なファッションをしている子達とも繋がるようになります。割と派手な格好している子達は学校が嫌だとか家庭が嫌だというそれぞれ悩みを抱えている子が多かった印象がありました。でも共通の趣味としての古着で繋がっている感覚ですね。そんなみんなと写真を撮ったりワイワイしている時間が私自身にとって元気をもらえる時間になっていました。
そんな体験から中高生でしんどさを抱えている子達が少しでも元気になれる場所が作りたいという思いになりました。私自身しんどい時に心の支えになってくれたのは古着だったこともあり、ある意味この時点で古着を通じて私自身が変われた体験だった気がします。
ずっと正しいと思ってきた事が崩れた時
ー SPINNSに入社してからどんなことが変化したのでしょう。
川南:SPINNSに入って一生懸命仕事をすると、バイヤーをさせて貰えたり、アメリカ出張に行かせてもらったりいろんな体験をさせてもらいました。頑張ったら頑張った分だけちゃんと何かが返ってくるという体験が初めてで本当に嬉しかったです。「めっちゃ助かるわ」とか「来てくれてありがとう」って言われるととても嬉しくて、この人達のためにもっとなにかしたいという気持ちで働いていました。その反面、その行動が他の人からみたら偽善ぽく捉えられたり、うまくいかなくなっていきましたし、自己満足になってる自分にも気がつきました。
それまでの私は、いい上司、いい部下、いい奥さん、いいお母さんにならないといけないという思いが強かったのだと思います。ずっとそれが正しいと思って生きてきたので、それが崩れそうになる時、実はそれが望まれていなかったということが分かった時にどうしていいのかわからなくなりました。
理想的な状態と素直なわたし
ー 今まで正しいと思って生きてきた価値観が崩れた時どう越えていかれたのでしょう。
川南:そんなある日、自分の感じていることを素直に伝えることにしました。これまでの私の「理想的な状態」は相手の話をしっかり聞いて、自分の意見を言わずにその人たちが上手くいくようにすることばかり考えるという状態でした。
でも「実はこう思ってたんよ」と自分の意見を伝えると、それを喜んでくれたんです。そこから自分の思いを伝えること、話し合うこと、逃げないこと、向き合うことの大切さを学びました。そんな時「どうせ人間最後はひとりやし」と思ったら楽になりました。
どうせ人間最後はひとり
ー 「どうせ人間最後はひとりやし」をもう少し詳しく教えてください。
川南:「どうせ」って付けると諦めた感が出てしまうのですが、元々人間はひとりなんだという感じです、思っているより人は自分のことを気にしていないとか、自分は自分軸で生きていかなければいけないという感覚です。これは旦那さんと話して思うようになりました。
今までは「他人」ありきで自分は生きてきたんだなという感覚です。旦那さんは人間はひとりなんだという感覚の方だったんですけど、最初は理解できなかったのですが、今はそういうことだったのかと感じています。この考え方ができたら生きるのが楽だなという感じです。
川南:昔の私はおせっかいでした。自分が何かしてあげないとという接し方。過干渉とまではいかないにしても人ありきの自分でした。今は子供に対してもその子はその子のやり方があると思い、見守ることができるようになりました。家族に対しても今はそれぞれのやりたいことをやってもらいたいと思えるようになりました。そうすると時間的にも精神的にも暇になるんですが、その分身体を休めたり、精神的にも楽になりイライラすることも減って、生きるのが楽になったという感覚です。
いろんな背景を持った人が立ち寄れる場所
ー そんな川南さんがこれから未来に向けて作っていきたいものは何でしょう。
川南:SPINNS高等学院に携わるようになって、合同相談会に来られた親御さんとか学校に行けない子ども達とか様々なケースで関わることが多くなりました。割と今まではやりたい事が明確な人たちと接する機会が多かったのですが、本当はそういうことしたいけど苦手だったりどうしていいかわからないという子ども達や子育てにしんどそうな親御さん達と会うことで気づいた事があります。
昔の私は生きづらさを感じている子ども達をどうにかしなければいけないという想いだったのですが、今はそれぞれの人たちが対話できる環境が大切だと感じています。
私自身も振り返ると古着屋さんで悩みをきてくれることが支えになっていたと思っていたのですが、悩み相談をする以前に、そもそもそんな居場所のようなフラっと寄れるような場所やちょっと立ち止まれる場所がある事がSPINNS高等学院を通じて大切なんだと気がつきました。
そんな場所を中高生だけでなく、しんどさを感じられている親御さんのみならず、いろんな背景を持った人が立ち寄れる場所を作りたいと思っています。
今でも私に勇気をくれている服
ー 川南さんにとって「ムテキ」とはなんでしょう。
川南:先ほども出てきたのですが、人間はひとりなんだと思うことが私にとっては「ムテキ」だと感じました。元々ひとりだと思うからこそ助け合えるし、自分の軸を大切にする事ができる。私はそれで自分を生きることに立ち帰る事ができました。
そして、今でも高等学院の合同相談会にこの派手なファッションで参加するのですが、とても目立ちます。「何あの学校」という目で見られるケースもあると思いますが、中高生からはとても関心を持っていただけますし、服が好きな親御さんからも興味を持っていただけるきっかけになっています。きっと良い面も悪い面もあると思うんですが、今でもこの服は私に勇気をくれているなと感じています。
プロフィール 川南 沙耶香【ヨッシー/サッチン】 京都府亀岡市出身 SPINNS高等学院 コミュニケーションスタッフ 20歳で株式会社ヒューマンフォーラム(SPINNS 物流センター)に入社。二児の母。 現在は物流センターのお仕事とSPINNS高等学院で生徒とのコミュニケーションスタッフとして奮闘中。 SPINNS高等学院が生徒の 皆さまにとって あったかな居場所に なるように心がけています
インタビュアー 大槻彦吾 (g5designs & Co.)