ペットの需要が高まる昨今、愛犬や愛猫の身だしなみのお手入れをしてくれるトリミングサロンに、需要が高まっています。
本記事で紹介するのは、トリミングサロンを開業したいという人に向けた、開業までの流れについて。
必要な資格や手続き、集客対策などについて解説します!
トリミングサロン開業までの流れ9ステップ
トリミングサロン開業までの流れは、以下の9つのステップです。
なかでも、届け出や資格の取得、保健所による検査に通過しなくては、お店をオープンできないので、しっかりチェックしていきましょう。
トリミングサロンを開業できる条件が当てはまっているか確認
トリミングサロンを開業できる条件とは、以下の4つのどれかに当てはまっている必要があります。
- 獣医師免許をもっている
- 愛玩動物看護師の免許をもっている
- 半年以上の実務経験または1年以上の飼育経験+所定の学校の卒業
- 半年以上の実務経験または1年以上の飼育経験+所定の資格を取得
この条件は、あとで解説する動物取扱責任者の講習を受ける条件でもあります。
当てはまっているかをしっかりチェックしておきましょう。
動物取扱責任者の講習を受講
上記で紹介した資格取得条件に当てはまっているなら、動物取扱責任者の講習を受講し、資格をもらいましょう。
講習を受けるのは、第一種動物取扱業の資格を取得する前、だいたい開業の目安から2,3か月前には済ませておく必要があります。
また、動物取扱責任者の講習は、トリミングサロンを開業したあとも、年に1回は法定研修として受講する義務があるので忘れないようにしてくださいね。
トリミングサロンの開業のスタイルの決定
講習を受けたあとは、どんなトリミングサロンをオープンさせるかを決めていきましょう。
トリミングサロンは、店舗や自宅の一角で開くのか、お客さんの元に出向く出張スタイルなどさまざまです。
地域に住む顧客の年齢層やペットの多さ、競合などを把握し、開業する地域の需要に合わせて開きましょう。
開業場所を決定する
トリミングサロンを開く意図が決定したら、開業場所を決めていきましょう。
トリミングサロンでは、動物の鳴き声やドライヤーなどの騒音に配慮する必要や、駐車場の有無などを確認していきましょう。
トリミングサロンの形態によって、かかるコストが変わるので、長い目で見て決定することが大切です。
必要な設備の確認
トリミングサロンに必要な設備は、一人か二人で回すなら、2~3台程度のトリミング台やシャンプー台、待合室の設置などが必要になってきます。
また、多くの水や電気を消費するため、電気の容量や排水設備は整っているか、備品のストックスペースや入口の広さや利便性は、要チェック事項です。
トリミングサロンをカーで営業する場合は、トリミングカーを確保する必要がありますよ。
開業場所の内装工事や各種機材の搬入
開業場所が決まり、お店の規模がまとまったら、内装工事や設備の搬入を行います。
内装の工事は、業者に頼むほか、コスト削減のためにDIYで行うこともできますが、預かるペットがケガしないよう配慮したり、ペットのニオイ対策なども考えていきましょう。
また、内装は統一した素材感や色を使い、犬や猫たちが落ち着く空間づくりを心がけましょう。
保健所による内装・設備のチェック
保健所は、以下のような場所をチェックしています。
- 消毒設備の設置
- 店内の明るさや清潔感
- 防音対策や匂い対策
立ち入りチェックに引っかからなければ、次のステップに進めます。
第一種動物取扱業の資格を取得
第一種動物取扱業の資格は、トリミングサロンを開業する準備が整ったあとに取得できますよ。
第一種動物取扱業の資格は、販売や保管、貸し出しや訓練、展示や競り、譲受飼養の7種類があり、トリミングサロンは保管に当てはまります。
営業開始前に、必ず開業する地域の保健所か動物愛護センターにて登録しましょう。
申請の手数料は、15,000円ほど掛かります。
開業届を出し、開業
いよいよ、税務署に開業届を提出して、準備が完了します。
青色申告承認申請書を合わせて提出すれば、最大65万円の所得控除が受けられるので、合わせて提出しておくのがおすすめ。
また、開業届は、開業から1か月以内に提出する義務があります。
トリミングサロンを開業するために必要な資格
トリミングサロンを開業できる条件とは、動物取扱責任者の資格を取得するための条件で、以下の4つのどれかに当てはまっている必要があります。
- 獣医師免許をもっている
- 愛玩動物看護師の免許をもっている
- 6か月以上の実務経験または1年以上の飼育経験+所定の学校の卒業
- 6か月以上の実務経験または1年以上の飼育経験+所定の資格を取得
今までは、実務経験か学校の卒業、資格保持のどれかを満たしていればOKだったのが、令和2年から、卒業か資格、飼育経験のどれかに加えて、実務経験がプラスされました。
気をつけなければならないのは、実務経験とは、アルバイトではなく常勤の職員として約800時間以上働いた経験です。
また、飼育経験はペットとしての飼育や繁殖では認められないとされており、雇用関係のない師弟関係やボランティア、非常勤などでの経験が当てはまります。
ただ、認定されるラインに定義はないため、保健所に聞いてみましょう。
トリミングサロンの開業スタイル4選
トリミングサロンの開業スタイルは、以下の4パターンが多いです。
どの業務形態が、開業予定の地域に合っているか見極めましょう。
店舗独立型サロン
店舗独立型サロンは、オーソドックスな業務形態です。
テナントを借り、自由に内装をいじることができるので、理想的なトリミングサロンをつくりやすいメリットがあります。
ただ、立地によっては家賃や光熱費が高額になりやすく、多くの資金が必要になります。
1人で経営するより、何人か従業員を雇う中規模のサロンを目指す方が、効率よく運営できますよ。
自宅でのサロン
自宅の一室を利用して、トリミングサロンを開くことも可能です。
自宅の部屋数が減ってしまいますが、新たに家賃を支払う必要がなく、家庭と両立しやすいことがメリットですよ。
ただ、保健所の審査に通る必要があるので、業務用の設備をそろえる必要があります。
騒音や臭いが発生しやすいため、近隣住民への配慮も忘れないよう注意しましょう。
出張や移動型サロン
出張や移動型サロンは、家や施設などに出向き、ペットのトリミングをするサロンです。
高齢者や子育て中の人は、トリミングサロンに行きたくてもいけないことが多いため、出張型サロンは重宝されやすいですよ。
自宅の中で施術を行うほか、トリミングカーを使って車の中で施術を行うパターンもあります。
ペットショップや動物病院への併設 (シェアサロン)
ペットショップや動物病院の敷地を借りて、トリミングサロンを開業する方法もあります。
ペット用品を買うついでや、検診で病院に行く時に合わせて、トリミングを受けれれば、一度の外出でトータルケアができるため、お客さんが集まりやすいです。
中には、美容室やカフェと併設したトリミングサロンもあるので、地域の需要に合わせて考えてみましょう。
開業前にトリミングサロンの集客対策をとっておくのがおすすめ
トリミングサロンができたことが知られなければ、利用者は増えにくいため、自らが発信したり、お客さんにSNSで発信してもらう必要があります。
トリミングサロンの集客には、以下の4つの方法を検討してみましょう。
それぞれ解説していきます。
Web集客
トリミングサロンを開業するなら、公式サイトをつくってWeb集客を試みましょう。
最近では、自分でカスタムしてつくれるサービスが充実しているので、高いホームページ制作費を掛けなくても、おしゃれな公式サイトをつくれますよ。
また、公式サイトがあるほうが、お店の信頼性もアップします。
Instagram X(旧Twitter) 公式LINEなどのSNS
SNSでは、ハッシュタグを使うことで、地域でトリミングサロンを探している人に発見されやすく、最新情報を発信しやすいことから、お店側も顧客も情報収集のためによく利用されます。
また、公式LINEなら、登録してくれた顧客に向けて情報を届けやすく、予約の管理もできますよ。
ブログ
ブログも情報を発信するのに適していますが、InstagramやXなど比べると、閲覧回数は少ないため、併用するのがおすすめです。
長文で情報発信をしたい人は、公式サイトやSNSにブログのURLを貼っておきましょう。
Googleマイビジネスの活用
Googleマイビジネスとは、無料で使えるビジネスプロフィールです。
Googleの検索やマップ検索でお店の情報が出るので、新規顧客が得やすいですよ。
口コミや混みあう時間、最新情報などがわかりやすく、SNSを見ない人でもチェックしやすいため、知名度が上がりやすいメリットがあります。
トリミングサロンを開業するにあたって必要な資金とは
土地の相場や業務形態で異なりますが、トリミングサロンを開業するにあたって必要な資金は、以下です。
費用 | 金額 |
---|---|
物件取得費(家賃、敷金、保証金など) | 30万円〜100万円 |
内装・外装工事費 | 20万円〜200万円 |
ドックバス、トリミングテーブルなどの設備 | 20万円〜40万円 |
シャンプー、タオルなどの消耗品 | 5万円〜10万円 |
広告宣伝費 | 5万円〜30万円 |
6か月分の運転資金(家賃、水道光熱費、共益費、人件費など) | 50万円~200万円 |
やはり、テナントを借りた自立型店舗は、一番お金がかかりやすいです。
資金を抑えるなら、自宅や併設、出張型などのトリミングサロンがおすすめですよ。
トリミングサロンの開業で利用できる助成金や補助金
トリミングサロンの開業資金を確保するには、助成金や補助金を活用することもできますよ。
助成金や補助金の種類は、以下の4つです。
- 日本政策金融公庫の出資
政府の金融機関が用意している出資制度で、低金利と長期返済が可能です。
さまざまな融資制度が用意されていますが、新創業融資制度は、新たに事業をはじめる人におすすめの制度で、担保や保証人がいらず、最大3,000万円の有志が受けられます。
ただ、融資の総額の10分の1は、自分で確保しなければならないため、自力でお金を貯めておく必要がありますよ。
- 制度融資
制度融資は、地方自治体や信用保証協会、金融機関が連携して融資を行う制度です。
地域の中小企業や小規模事業者が資金調達できるようになっており、金利が低く、長期返済ができるメリットがあります。
審査や書類の提出が必要で、銀行や消費者金融と比べれば時間がかかってしまうのがネックです。
- 国や地方公共団体からの補助金・助成金
国や地方公共団体からの補助金や助成金は、地域によって異なりますが、新規起業を支援するもので、初期費用の補填のために資金を出してくれる制度です。
融資ではないので、返済義務はないのがメリットですが、規約があるのでしっかり確認しましょう。
- クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを通じて、不特定多数の人が資金の提供を行い、資金をもらった側が何かしらのお礼をする仕組みです。
お礼の種類はさまざまで、トリミングサロンなら、1回無料券や割引券、オリジナルグッズのプレゼントなど。
お礼につられて支援してくれる人も多いので、魅力的なプレゼントや起業コンセプトを発信して言う必要があります。
トリミングサロンの開業の流れまとめ
トリミングサロンを開業するには、実務経験や資格の取得などの条件をクリアする必要があり、誰でも開業できるわけではありません。
ペットの需要が高まっている今、多様な形態のトリミングサロンの需要も高いので、開業したいと考える地域のニーズに合わせて、柔軟に対応してみてくださいね。
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